次亜塩素酸水の種類とその作り方
次亜塩素酸水には、
- 次亜塩素酸ナトリウムと酸などを混ぜて作る方法と
- 食塩(または塩酸)と水を電気分解して作る方法
があります。
厚生労働省が食品添加物として定める成分規格の定義は、強酸性、弱酸性、微酸性の3種類があり、詳細にはそれぞれ異なりますが、製法は「2」です。
本品は、塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を電解することにより得られる、次亜塩素酸を主成分とする水溶液である。
としています。
ではこの一文をより具体的にご説明しましょう。
電気分解やイオンに関しては中学理科で教わっていますが、おぼえていますか?
欲しい次亜塩素酸水は、HとClとOでできていますので、水素と塩素と酸素をどこかからもらってこなければなりません。
HとOは水からとれますね。ではClは?そうです、食塩「塩化ナトリウム」のNaClからもらうことができます。
食塩とは、ナトリウムNa(金属)と塩素Clが合体した物質です。
食塩水(塩化ナトリウム水溶液)の電気分解
ナトリウムNaなどの金属元素はすべてプラスの電気を帯びています。=陽イオン
塩素Clは、マイナスの電気を帯びる性質を持っていますので、水に溶かすと、ナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl–に分かれます。
このように、電気的に中性の物質が水溶液の中でイオンに分かれることを電離といいます。
陽極側には陰イオンの塩素Cl-、陰極側には陽イオンのナトリウムNa+が引き寄せられます。
塩素Cl-は原子のため、2個くっついて塩素分子Cl2をつくり、気体の塩素が発生します。
この塩素が水H2Oと混ざると、次亜塩素酸HClOと塩酸HClが生成されます。
強酸性次亜塩素酸水をつくるには
0.2%以下の塩化ナトリウム水溶液(水1Lに2gの食塩)NaCl + H2Oを電気分解します。
具体的には、陽極・陰極が角膜で仕切られている有隔膜二室型電解槽を使用して(もしくは三室型電解槽)電解します。
陽極側から得られる水溶液が強酸性次亜塩素酸水です。
- pH2.2~2.7
- 有効塩素濃度20~60ppm
弱酸性次亜塩素酸水をつくるには
強酸性次亜塩素酸水と同様の作り方ですが、陽極から得られる水溶液に陰極から得られる水溶液を加えたものが弱酸性次亜塩素酸水となります。
- pH2.7~5.0
- 有効塩素濃度10~60ppm
微酸性次亜塩素酸水をつくるには
塩酸のみ、もしくは3%以下の塩酸と5%以下の食塩水を、隔膜のない電解槽の中で電解します。
陽極側から得られる水溶液が微酸性次亜塩素酸水です。
- pH5.0~6.5
- 有効塩素濃度10~80ppm
陰極側には何がつくられる?
陰極側に引き寄せられた陽イオンのナトリウムNa+は、OH-と反応して、水酸化ナトリウムNaOHが生成されます(薄いアルカリ性)
次亜塩素酸ナトリウムNaClOの生成
一般的には水酸化ナトリウムNaOH水溶液に塩素ガスClを吸収させて作られますが、
2NaOH + Cl2 ⇒ NaOCl + NaCl + H2O
高濃度の飽和食塩水を隔膜のない一室型電解槽で電気分解しても作られます。
この場合、陽極側にできる水溶液(酸性の次亜塩素酸水)よりも、陰極側にできる水溶液(水酸化イオンOH– アルカリ性)の量が多いため、混ざると電解槽内の水溶液はアルカリ性を帯びます。
- pH7.6以上
- 有効塩素濃度 100~1000ppm
明確な違い1|pHと有効塩素濃度
両者の明確な違いは、pHと有効塩素濃度の範囲です。
前述の通り次亜塩素酸水のpHは、pH2.2~6.5(高くとも7.5未満)で、有効塩素濃度が10~100ppmの酸性電解水です。
一方、次亜塩素酸ナトリウムのpHは、7.6以上で、有効塩素濃度は100~1000ppm
この両者の中間に位置するのが、電解次亜水と呼ばれる水溶液です。
pH7.5、有効塩素濃度は30ppm以上で、次亜塩素酸ナトリウムの希釈液と同等の殺菌力を有します。
また食品添加物として厚労省にも認められています。